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「世間」とは何か

阿部謹也氏の著書『「世間」とは何か』を読み返しています。

きっかけになったのは、
イラクで日本人三人が人質になる事件でした。
あの時人質とその家族に対して
世間からもの凄い厳しい批判がありましたね。
批判はともかくとして
家族のもとに匿名の脅迫状が送りつけられるような事態は
尋常なこととは思えません。
何故そこまであの家族たちは憎まれることになったのか。

私はあの事件直後、
家族の対応にも、それを厳しく糾弾する人たちにも
強い違和感を抱いたのですが
その時に思い浮かんだのが以前読んだこの本のことでした。

阿部氏と言えば『ハーメルンの笛吹き男』を初めとする
西欧中世史が専門の学者ですが、
(阿部氏の西欧中世史の本もとても面白いので、
読んでない方はぜひ)
かなり前から『世間』についての論考を中心に
著作活動を続けられています。

長年西欧の社会を研究し、
日本と欧米での「人と人との関係」の違いを
強く感じていた阿部氏は
日本には欧米における「社会」とは別の、
「世間」というものが存在しており
この「世間」が日本の人々の行動を規定していると述べています。

では「世間」とは何なのか?

世間という言葉は長い年月をかけて作られてきたものなので、 必ずしも欧米流の概念では説明ができない。 しかも情理や感性とも深い関わりがあるので、 合理的に説明することも難しい。 p16

この本ではそんな捉えがたい「世間」が
日本の歴史の中でどのような意味を持っていたのかを
文学作品を読み解きながら論じています。

この本を読んだからといって
『世間』を体系的に理解できる訳ではありません。
また、冒頭で挙げたイラクの人質事件における「世間」の反応の
全てを分析、考察できるようになるわけではないでしょう。

しかし、日本における「人と人との関係」を考える上で
多くのヒントを与えてくれる本だと思います。

「世間」とは何か
阿部謹也著
講談社現代新書
アマゾンのカスタマーレビュー

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